インタビュー・座談会卒業生に聞く、在学生が語る

障がい者について広く専門的に学んだことが、今の私の力になっている

日々、感動する瞬間に出会える職業

横浜市立特別支援学校教員(2017年度卒・女性・特別支援教育)

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―特別支援学校の教員を志したきっかけを教えてください。

家族が特別支援学校に通学していた当時、行事などで学校を見学する機会がありました。家庭ではなかなかできないような経験を重ねている子供たちの姿と、子供たちに愛情を持って接している先生たちの姿がとても印象的でした。そうした先生と子供たちの関わり方が素敵だなと感じたことがきっかけとなり、「私もこのような場所で働きたい」と思うようになりました。私の場合、教員という職業以前に「障がいのある子供たちに関わる仕事に就きたい」ということから特別支援教育を学ぶに至りました。障がいのある人を支援する仕事として療育センターで働きたいという気持ちもあり、社会福祉士の資格を取ることも考えましたが、必ずしも子供たちに関われるとは限らないと知り、私には特別支援学校が相応しいと思い、目指すことにしました。

―特別支援学校の先生のお仕事について教えてください。

前任校は聴覚障がいのある子供たちが通うろう学校、現在は肢体不自由のある子供たちが通う特別支援学校―と勤務校を移ると、子供たちへのサポートの方法が全く変わることに苦労はあるものの、赴任しなければ関わることができなかった子供たちと出会い、その成長する姿を見ることができるのは色々な特別支援学校を経験することの楽しみでもあります。

―「教員になってよかった」と思われることを教えてください。

特別支援学校の教員は感動する瞬間に出会える職業です。日々子供たちが少しずつ成長していく姿や、行事で目標を達成したり、がんばってきた練習の成果を発揮したりする姿をすぐそばで見ることができます。そうした日々の中に、「教員になってよかった」と思う瞬間があります。そして、子供たちと過ごす毎日には、楽しいことや思わず笑ってしまうような出来事がたくさんあり、笑顔を絶やさず毎日を過ごせる職業です。

初めて同じ志を持つ人に出会った大学時代

―横浜国立大学を志望された理由を教えてください。

特別支援学校の教員免許が取得できる数少ない大学であり、しかも専門の「特別支援教育コース」が設置されている点が大きな魅力でした。市内にある自宅から通学しやすいこともあって、志望校を横浜国立大学のみに絞って受験勉強に励みました。私にとっては難関校でしたが、学校推薦型選抜(入試)を活用して合格することができました。「将来、障がいのある子供たちと関わりたい」という明確な目標を持っていたことが合格につながったのだと思います。

―学生生活について聞かせてください。

入学して初めて同じ志を持った人たちと出会うことができました。私と同じように障がいのある家族がいる方、小学生の頃に特別支援学校と関わったことから特別支援学校の教員を目指した方のお話を聞いたときは「話が合いそうだ」と嬉しく思い、将来の目標に対する気持ちがより高まりました。課外活動では手話サークルとボランティアサークルに所属していました。また、大学の障がい学生支援室の取り組みである「キャンパス・サポーター」を務め、障がいのある学生が、講義を受ける際に感じている困り感を少しでも解消できるようにとサポートする活動に従事していました。他学部の学生ともサークル活動などを通じて知り合い、それまで自分に関わりのなかった分野に関する専門的な知識を持つ人たちと交流することができました。総合大学ならではの良さだと思います。卒業して教職に就くと新たに知り合う方は現職の教員が多いので、異分野で働き活躍する友人たちと時折会って話をすることで社会に目を向けるためのきっかけになって刺激を受けています。

―大学での学びで印象に残っていることは何でしょうか。

大学入学前は肢体不自由のある子供たちへの支援に関心がありましたが、授業で様々な障がい種について広く専門的に学んだことによって、他の障がい種についても興味を持つようになりました。実際、子供たちを支援・指導する際には、発達障がいや肢体不自由、知的障がいなど様々な障がい種に関する知識が必要になります。大学で広く専門的に学んだことは、いまの私の力になっていると実感しています。

―特別支援学校の教員を目指す高校生、教育学部生にメッセージをお願いします。

私自身、ただ「なりたい」と思う気持ちだけでやれるのかという不安はありましたが、いざ職に就いてみれば、たくさんの先輩方が支えてくださいました。不安な気持ちを抱えている方は自分の気持ちを大切に、安心して門を叩いてみてください。応援しています。

(2023年3月掲載)

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